Saturday, February 27, 2021

第二章 香港(5)

 東南アジアの魚料理によくあるハーブが乗っている。以前、ロンドンに行く南回りのフライトでバンコクにストップオーバーし、現地に駐在中だった大学時代の友人と会って食事をしたことがある。彼は翌日、このハーブが原因と思われるひどい下痢に遭い、「長距離フライトで大変だったんじゃないかと心配してたんだよ」とメールで伝えてきた。ところがネコはすこぶる元気で、全く問題がなかった。

 父親はよく言っていた。戦時中の物のない時代を過ごし、食べるものを選べる状況ではなかったから胃腸が鍛えられた、と。ネコは強靭な胃腸も譲り受けたのかもしれない。

 風邪を引くと抗生物質と一緒に、ムコスタという胃腸薬も処方される。だがムコスタを飲んでも、飲まなくても体調は変わらない。胃腸は丈夫だが、読書家でガリ勉の父から強度近視とその原因となる生活習慣は受け継いだ。そのためかドライアイになり、治療としてムコスタの目薬版を使っている。胃壁を保護するムコスタの機能に着目し、眼の表面を保護する目薬として開発された。効果はあるようだが、眼から鼻、喉の奥へと目薬が流れていったときに、なんとも言えない苦さを感じる。
 
 B氏はナイフとフォークを器用に使い、魚とハーブをネコの小皿に盛る。ハーブの件を思い出したものの、いずれにせよネコには問題がなかったので何も言及しない。

 B氏は見た目にも人柄も、典型的な善良な日本人サラリーマンである。身長は170~180センチの間くらいだろうか。やせ型で縁の薄い眼鏡をかけている。言葉に無駄がなく状況説明がわかりやすい。高慢な感じはなく、卑屈でもない。厭世的でも楽観的でもなく、客観的だが事実やデータを話しつづけることもない。一回の発言が適切な長さでありながら、興味を引く情報が含まれる。日本の大企業に長く勤めて、いいポジションを得ていくタイプなのだろう。

 そう考えていくと、アメリカ人でも日本に興味があり、日本駐在が長かったり、あるいは日本関連の仕事していると、こういうタイプに似ている。まず第一の特徴として、太っていない。日本人と同じものを食べていれば、そうそう極端に太ることもないだろう。さらには白人のルーツであり世界的な観光地の欧州諸国ではなく、ある意味で特殊な日本という国に興味を持ち、世界の共通言語でもなく英語ネイティブにとって極めて難解な日本語をあえて学ぶといういう点で、視野が広く、とても勤勉ということが言える。

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