ふつうに考えて経済規模や人口、産業構造といった観点から、ロシアが米国の脅威と言えるだろうか。ソ連時代にモスクワに駐在していた馬渕睦夫・元駐ウクライナ日本大使は、当時のソ連の貧しい状況から米ソ対立は茶番だと感じたという。
その一方で、中国はたしかに急速な経済成長を遂げ、民主国家にはできないトップダウンによる国策でインフラ整備やコロナ対策などを効率的に行った。その中国と欧州は陸路で結ばれ、ドイツの工業製品やフランスのワインやチーズが大量に中国へ輸出されている。トランプ大統領がEUとの貿易戦争で欧州製品に高関税を課すなか、中国は欧州から爆買いを続けた。
ヨーロッパにとって中国はいいお客さんであり、米国は政権交代の度に朝令暮改を繰り返す混乱国家なのかもしれない。こうして考えていくと、中国+欧州 vs. 米国という構図も浮かび上がる。
ネコとアルはひとしきり時事ネタや世間話に興じ、残りのコーヒーを飲み干す。
「じゃあ、そろそろ行こうか。香港に来る機会があれば、知らせてね!」と、アルはトレーを持って立ち上がる。ガラスのドアを押して外に出て、二人は手を振る。
ネコは地下鉄テンプル駅へと歩き出した。この懐かしい風景は15年前と変わらない。
スローンスクエア駅で降りてKings Roadを行く。あのジェームズ・ボンドが住む界隈である。百貨店のPeter Jonesは閉店してしまったようで、今ではBMWのショールームになっている。もはやガソリン車はなく、太陽光パネルで動く「空飛ぶ自動車」の最新モデルが並ぶ。
パン屋のPaulでお気に入りのチェリーパイを買う。かつては大きなパイの切り売りで、どのスライスを買うかによって若干の大小があった。今ではフランス本社が作成したレシピで3Dプリンターが忠実に再生し、世界中どの店でも全く同じ大きさと味のパイを提供している。少しでも大きく見えるスライスを指さして注文したのが、今となっては懐かしい。
Marks & Spencerでパスタとサラダの総菜を買い、Sloane Avenueの緑の木々が茂る中を歩いてアパートに着く。部屋に戻りPCを立ち上げる。
米系組織を退職後、ネコはブログやYouTubeでFIRE(Financial Independence, Retire Early)の体験談やノウハウを伝える記事や動画をアップして小遣いを稼いでいる。仕事を辞めた当初は疲れ切って、文字通りネコのように昼寝三昧の生活だった。おかげですっかり元気になり、半年もすると飽きてきた。しかしヒマだからといって、あの永遠に続くクレイジーな世界に戻りたいかと言えば、答えはノーである。
メールを開くとメッセージが届いている。ブログ読者の問い合わせのようだ。最近のグーグル翻訳はほぼ完璧になり、元のメッセージの言語はわからないが、和訳ボタンを押せばすぐにまともな日本語が出てくる。
「あなたのブログを拝読しました。とても興味深い経験をお持ちですね。よろしければ、ちょっとお願いしたい仕事があるんですが、ご相談させていただけませんか?」
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